Slow Work System
Slow Work System ワード・スペース
しゅんかん
数年前(すうねんまえ)

もう、「むかし」と表現(ひょうげん)できる(ころ)のこと。

私は保育所(ほいくしょ)事業(じぎょう)一環(いっかん)として存在(そんざい)していた「児童(じどう)クラブ」に(つと)めていた。

学童(がくどう)フロアーは、保育園(ほいくえん)敷地内(しきちない)()るが、

建物(たてもの)独立(どくりつ)していたので普段(ふだん)保育園児(ほいくえんじ)(かか)わる(こと)はほとんどなかった。

食事(しょくじ)をしたりおやつを()べたりするスペースが共有(きょうゆう)だったのと、
 時々(ときどき)学童の子供達(こどもたち)園庭(えんてい)(あそ)ぶ事もあったので日常的(にちじょうてき)園児(えんじ)様子(ようす)(なが)める機会(きかい)はあった)


かなり(さむ)かったから。

2月とか、真冬(まふゆ)時期(じき)だったと(おも)う。

児童(じどう)クラブの勤務(きんむ)午後(ごご)()までだったので、学童のフロアーを()めたあとは

保育園(ない)一巡(いちじゅん)して「お(つか)れさまでした」と挨拶(あいさつ)をして(かえ)るのが毎日(まいにち)(なが)れ。

私はいつも(どお)りの流れを()て、自宅(じたく)(もど)り何でもなく()ごしていた。



この日 保育園では異変(いへん)()きていた

保育園の年長(ねんちょう)クラス、5(さい)の女の子のお(むか)えが8時を()ぎても()ない。

保護者(ほごしゃ)連絡(れんらく)をするけど、(つな)がらない。

勤務先(きんむさき)も、自宅も、ケイタイも。

ケイタイの(ほう)途中(とちゅう)から電源(でんげん)()られてしまった。

ケイタイの()(ぬし)母親(ははおや)

女児のお(にい)さんは、

幼児期(ようじき)に母親を(ふく)めた育児環境(いくじかんきょう)問題(もんだい)により擁護施設(ようごしせつ)に入っていた。

父親(ちちおや)はいない。


市役所(しやくしょ)児童相談所(じどうそうだんしょ))などの公的機関(こうてききかん)にも連絡はとってある。

事故(じこ)(なん)らかの事情(じじょう)なら連絡が(はい)(はず)だ。


結果(けっか)から言えば、この(とき)()きたのは「母親による育児放棄(いくじほうき)」。

当時(とうじ)問題視(もんだいし)されていた幼児虐待(ようじぎゃくたい)一種(いっしゅ)だった。


これ以降(いこう)は。

あまり(くわ)しい事情は()せられないので、この文章(ぶんしょう)では細部(さいぶ)まで説明(せつめい)は出来ない。


なので。

一連(いちれん)出来事(できごと)背景(はいけい)については詳細(しょうさい)状況説明(じょうきょうせつめい)(はぶ)いて(かた)ろうと思う。


こんな日に(かぎ)って。

保育園の責任者(せきにんしゃ)女児(じょじ)担任(たんにん)などがすぐに(からだ)()ける事が出来ない状況(じょうきょう)にあった。

遅番(おそばん)担当(たんとう)していた保育士(ほいくし)は保育園に(つと)めてまだ日が(あさ)かった。


最終的(さいしゅうてき)にその園児は保育園から(もっと)も家の(ちか)かった私の自宅(じたく)保護(ほご)される事になった。

園長(えんちょう)保育士(ほいくし)がかけつけるまでの(あいだ)


園長から電話(でんわ)()け、園児を()つ。

ほどなく遅番(おそばん)担当(たんとう)保育士が彼女(かのじょ)()れてきた。


自分の環境(かんきょう)異変(いへん)()きている事は女児(じょじ)気付(きづ)いている。

玄関(げんかん)()けると、(もん)のところで保育士が心配(しんぱい)そうに女児に()()いながら(あたま)()げる。

「よろしくおねがいします」と。


女児の表情(ひょうじょう)はこわばりながら()きつっている。


なんでよりによってこの状況(じょうきょう)なのかと(かん)じていた。

児童(じどう)クラブ専任(せんにん)の私は、園児の事をほとんど()らない。

いや、それよりも重要(じゅうよう)なのは彼女(園児)が、私のことをほとんど知らない。

自宅には私ひとり。


保育士が(かえ)ったあと、家の中に入るよう(うなが)(ある)いたが(もん)から玄関(げんかん)まで少し歩いたところで、

彼女の(あし)完全(かんぜん)(かた)まり、()まってしまった。

目に(なみだ)(あふ)れ「中に入ろうか?」と(こえ)をかけるが、(くび)(よこ)()って拒否(きょひ)し足が固まっている。

(さむ)さは気になったが、彼女の恐怖(きょうふ)不安(ふあん)(はだ)(かん)じながら無理(むり)には出来ないと思った。

その()(ひざ)をつき「いいいよ、大丈夫(だいじょうぶ)無理(むり)に入らなくてもいいからね」と(こえ)をかけながら

彼女の横で左手(ひだりて)(かる)左腕(ひだりうで)()れ、背中(せなか)右手(みぎて)()いてレイキを(なが)した。

2回ほど(だい)2シンボルを(おく)りこんだ途端(とたん)

これまで()さえ()んでいた感情(かんじょう)(あふ)れて()(ごえ)一気(いっき)に大きくなり、周囲(しゅうい)(ひび)(わた)る。

その、あまりの大きさに一瞬(いっしゅん)「ご近所(きんじょ)」という意識(いしき)(あたま)をよぎる。

尋常(じんじょう)じゃない泣き声。周囲がどう感じるだろうかと。

その一瞬の(のち)(かんが)える()もなく感覚(かんかく)焦点(しょうてん)(さが)した。


今、「何が大事(だいじ)か」「大切(たいせつ)なのは(なに)か」。


今大切なのは、目の前の女児だった。

大事なのは彼女が感じている(いた)みだ。

「ご近所」じゃない。

(はら)をくくった。

「いいよ、()いていいからね。泣いていいよ」


泣き声は無限(むげん)(ひび)きに感じられた。

一帯(いったい)に響き渡る。

背中(せなか)に手をあて、(だま)ってレイキを(なが)(つづ)ける。


この時 (すで)に心の中は無力感(むりょくかん)でいっぱいだった。

いまだかつて体験(たいけん)したことのない恐怖(きょうふ)不安(ふあん)を感じている彼女の(そば)で、

手を()れられる距離(きょり)にいながら。

私は非力(ひりき)だった。

彼女が(もと)めているのは母親で、私ではない。

なのに何で私がここにいるのか、(くる)しかった。


(あか)ちゃんでも、小学生(しょうがくせい)でも、派手(はで)に泣く事はいくらでもある。

でもこの時私が()いていた泣き声は「悲鳴(ひめい)」だった。

こんな「悲鳴」みたいな泣き声を、それまで聞いた事がなかった。


彼女に集中(しゅうちゅう)して(だま)ってレイキを流し続ける。


少し感情(かんじょう)がおさまり、また少しして一気(いっき)に泣く事の()(かえ)しがしばらく(つづ)き、

感情がおさまった(すき)をみては少しずつ彼女を(うなが)し、ようやく玄関(げんかん)までは入る事ができた。

外気(がいき)がずいぶん(つめ)たくなっていたので少し安心(あんしん)した。

この時、家の中に入ることは無理(むり)だと「(はら)(そこ)」が察知(さっち)していたので、

その()(玄関)に(とど)まることにした。


彼女にとって、今この状況(じょうきょう)他人(たにん)(いえ)()がる事は

自分が母親から()てられた事(たとえ一時的(いちじてき)なものであったとしても)を

(みと)める事になるという印象(いんしょう)()けていた。



玄関に入り(とびら)()めようとすると彼女に緊張感(きんちょうかん)とさらなる恐怖感(きょうふかん)(はし)ったので、

気持(きも)ちが()()くまで扉は()けておくことにした。

扉を開けていても外気(がいき)(つめ)たさは、(そと)にいるより幾分(いくぶん)緩和(かんわ)される。

しばらくして

(さむ)空気(くうき)が入るから閉めようか?家には上がらなくていいからね」と(こえ)をかけたら、

(うなづ)いてくれたので、冷たさからは保護(ほご)された。

少し泣きやんではまた大きく声を上げて泣く()()えしだったが、

その間もずっとレイキは流し続けていたので、

もうほどなく気持ちが落ち着いてくるのではないかと期待(きたい)しながら

(だい)
2シンボルを(おも)にしてレイキを流し続けた。


だけど。

それでも泣き声は()し、大きくなる。

母を(もと)めて泣く子供(こども)悲鳴(ひめい)

()わりのない時間(じかん)に感じた。

そう感じた直後(ちょくご)、それまで何とか()()っていたグラウンディングが グラリ と()らいだ。


()げ出せるものなら。

本気(ほんき)で逃げ出したかった。


意図(いと)してグラウンディングを()(なお)し、もう一度(いちど)意識(いしき)を立てて()()る。


どうして感情が(おさ)まらない?これだけレイキが(なが)()んでいるのに。

「気」を集中(しゅうちゅう)し、落ち着いて心に()いかけた。


その時、今の状況(じょうきょう)には「カルナレイキ」のシンボルが必要(ひつよう)だと感じた。


臼井(うすい)レイキの第2シンボルは

感情の(いや)しと(はら)(そこ)沈殿(ちんでん)するエゴの気付(きづ)きに抜群(ばつぐん)効果性(こうかせい)(あらわ)す。

問題(もんだい)となっている事柄(ことがら)について、自分が感じている本音(ほんね)本心(ほんしん)(つな)がる領域(りょういき)に流れ込み、

(やさ)しく(おだ)やかに、そして繊細(せんさい)に感情を浮上(ふじょう)させる性質(せいしつ)()っている。

本人(ほんにん)にとって根本(こんぽん)にある感情や思いを顕在意識(けんざいいしき)知覚(ちかく)する事が(つら)場合(ばあい)は、
 体の(いた)みや(せき)下痢(げり)嘔吐(おうと)などを(とお)して体で表現(ひょうげん)されるケースも多々(たた)あります)

大人(おとな)で言えば、感情を浮上させ顕在意識で認識(にんしき)した上で浄化(じょうか)することにより、

意識的(いしきてき)(まな)びと平行(へいこう)して(いや)しが(おこな)われる(ため)

問題(もんだい)原点(げんてん)()()うことで本人に内的知覚(ないてきちかく)変容(へんよう)()こり、

その結果(けっか)現実的(げんじつてき)発言(はつげん)行動(こうどう)変化(へんか)改善(かいぜん))が(あらわ)れる。

()と、同じ間違(まちが)いを()り返さないように。

自覚(じかく)」された癒しは、

今後(こんご)人生(じんせい)(ふたた)び同じ間違い((いた)み)を繰り返さないためには必要不可欠(ひつようふかけつ)なプロセスである。

自身(じしん)の感情を自覚(じかく)した上で癒しが行われることは、大人の癒しには重要(じゅうよう)なのだ。


だけど。

子供は大人とは違う。

その上、彼女が体験している状況は虐待(ぎゃくたい)による(くる)しみで、日常的(にちじょうてき)なものではない。


今の彼女に、わざわざ感情を(あじ)わう必要(ひつよう)などない。

重要(じゅうよう)なのは、苦しみを一気(いっき)()(のぞ)く事だ。


第2シンボルは非常(ひじょう)(おだ)やかで(やさ)しく作用(さよう)する(ため)(いや)しのペースもゆっくりと(すす)む。

でも今回(こんかい)は、(いた)みがあまりにも(ふか)くて(はげ)しい為そのペースでは浄化(じょうか)までに時間を(よう)する。

その(かん)、感情を感じ続けるのは彼女には(こく)なのだ。

水面下(すいめんか)潜在意識下(せんざいいしきか))で一気に、浄化する必要性(ひつようせい)を感じた。


すぐにカルナレイキに()()えカルナシンボル使用(しよう)して、

()()むように(ふか)領域(りょういき)まで一気にレイキを(なが)()む。

2〜3(かい)カルナシンボルを(おく)り込んだ時点(じてん)で彼女の()(ごえ)がすっ〜と(おさ)まり、

うつらうつらと立ったまま自然(しぜん)(ねむ)りに入っていった。

すぐに(うご)かさない方が()いと感じたので、(うで)で彼女の体を(ささ)えながら、

しばらくそのままの状態(じょうたい)で眠りが定着(ていちゃく)するのを()った。

ほどなく寝息(ねいき)()こえはじめ、寝顔(ねがお)見守(みまも)りながらもうしばらくレイキを(おく)(つづ)けたが、

ふと、《もう大丈夫(だいじょうぶ)》という印象(いんしょう)がしたので私も安心(あんしん)しレイキを()えた。

あとは、眠っている(あいだ)にレイキが作用(さよう)する。

これ以上(いじょう)(つら)い感情を味わうことなく、水面下(すいめんか)(いや)しが進行(しんこう)する(はず)だ。



そこへ、まるでタイミングを(はか)りきったかの(よう)に、

普段(ふだん)から女児(じょじ)(せっ)している保育士(ほいくし)到着(とうちゃく)した。

「ちょうど今(ねむ)ったところ...」と言いながら保育士に女児の体を(あず)ける。

完全(かんぜん)に眠っていて、()きる気配(けはい)はない。

保育士に女児を預け、私は階段(かいだん)をあがり自室(じしつ)(もど)る。


私も(つか)れていた。


ベッドの(ふち)(こし)()ろし、しばらく(やす)んだ。


(ほど)なく園長も到着(とうちゃく)し、女児は客間(きゃくま)布団(ふとん)()かされた。


結局(けっきょく)この日、母親とは連絡(れんらく)()れず、母親の(とお)親戚(しんせき)にあたる(かた)に連絡がつき、

女児が()()られたのが午前(ごぜん)時頃(じごろ)だった。

親戚の人に()きかかえられ(くるま)移動(いどう)する時も、女児は目を()まさなかった。

後で聞いた話では、あの日彼女は(あさ)まで一度(いちど)も目を覚まさなかったそうだ。



翌日(よくじつ)


土曜日(どようび)学童(がくどう)さんも朝からやって来るため、いつも(どお)り朝8時に出勤(しゅっきん)した。

保育園(ほいくえん)は7時には(ひら)いているので、この(ころ)には園児はもうある程度(ていど)登園(とうえん)している。


ぼんやりと(つか)れた体で出勤し、朝の挨拶(あいさつ)をしながら保育園のフロアーを歩いていた時、

(うし)ろからパタパタと、()()足音(あしおと)が近づいてくるのを感じた。

意識(いしき)」が私に()いていたので、(おも)わず()(かえ)る。

昨日(きのう)女児(じょじ)だった。
昨夜(さくや)(とお)親戚(しんせき)(かた)が保育園まで(おく)って来てくれたらしい)


振り返ると「(昨日)一緒(いっしょ)にいたよね?」と、大きな笑顔(えがお)で私を見上(みあ)げた。


ヒーラーが。

(いや)されるのはこういう時だ。


「うん」

(わら)ってそう(こた)えながら、全身(ぜんしん)から癒されるのを感じた。


(じつ)は昨日、かけつけた保育士に女児を(あず)自室(じしつ)(もど)るため階段(かいだん)をあがりながら。

「何が、ヒーラーだ」と何度(なんど)も心でつぶやいていた。

(くび)をうなだれ、(かた)()としながら階段をあがり。

「何が、ヒーラーだ」と。


自室に入りベッドの(ふち)(こし)()ろすと。

「ばかみたい」と思わず声がこぼれた。

あんまりばかみたいで、(なみだ)も出ない。

何度も「ばかみたい」と思った。


母親(ははおや)(もと)めて()女児(じょじ)(まえ)で。

私は彼女の母親ではないというだけで、

自分をばかみたいな存在(そんざい)だと感じる事が出来た。


告白(こくはく)すると。


あの時、私も一緒(いっしょ)に泣きたかった。

(まった)(べつ)理由(りゆう)で。

自分には何も出来ない(私は彼女の母親ではない)という事実(じじつ)全身(ぜんしん)()けながら、

その非力(ひりき)さに(つぶ)されるようにして一緒に泣いてしまいたかった。


でもこの朝。


私を見つけて()いかけて来た女児の、

「一緒にいたよね?」と満面(まんめん)()みで()いかける言葉(ことば)が。


私には、

《あなたは、ダメじゃなかった》と()こえた。

一瞬(いっしゅん)にして、全部(ぜんぶ)(いや)された。


その()卒園(そつえん)するまで彼女は、私を見かける(たび)近寄(ちかよ)って来ては

「(あの時)一緒にいたよね」「家にいったよね」と()(かえ)笑顔(えがお)で言った。

何度(なんど)も。何度も。


まるで。


あの日(とな)えた私の「ばかみたい」が()えてしまうまで、

「あなたはダメじゃなかった」と何度も何度も()()えようとするかのように。





その日の午前中(ごぜんちゅう) 反省(はんせい)した女児の母親から保育園に連絡(れんらく)があり、

園長の(もと)で話し合いが行われた。

児童相談所(じどうそうだんしょ)判断(はんだん)(くわ)え、かろうじて女児の施設入居(しせつにゅうきょ)見送(みおく)る事になった。

私は(すで)児童(じどう)クラブの勤務(きんむ)()いていた(ため)、この時の様子(ようす)は見ていない。母親の事も。

年長児(ねんちょうじ)だった女児は、(はる)(むか)えほどなく卒園(そつえん)した。





数年後(すうねんご)


大型(おおがた)ホームセンターで()(もの)をしていた時。

親子(おやこ)とすれ(ちが)った。

ショッピング・カート()しながら(ある)くお母さんと、

そのカートに手をかけて(なら)んで歩く女の子。

すれ(ちが)いながら数秒間(すうびょうかん)(たが)いの(かお)をじっと見る。

と。言うより、女の子があからさまに私の顔をじっと見ていたので、私も思わず目を向けていた。

どこかで見たような.....記憶(きおく)がウズウズする。

そんなふうにすれ違がって少し歩いたところで「ハッ」と気付(きづ)いた。

彼女(かのじょ)だ。あの(とき)女児(じょじ)

小学校(しょうがっこう)3〜4年生(ねんせい)くらいだろうか。

()もずいぶん()びていたし、

成長(せいちょう)して少し顔が()わっていたのですぐには気付けなかった。

気付いて。すぐに()(かえ)った。

母親が商品棚(しょうひんだな)のところを()がった(よう)で、彼女はそこを曲がる前に立ち止まって私を見ていた。

顔を合わせた瞬間、同時(どうじ)に二人は(わら)()った。

セリフも()く。

(たが)いの笑顔(えがお)言葉(ことば)だった。

そして。

それを合図(あいず)にするかのように、彼女は母親の(あと)()って商品棚を曲がり私は買い物に(もど)った。


母親と一緒(いっしょ)の彼女は、(たの)しそうだった。


買い物を()えて車に()()み、(うれ)しさと感激(かんげき)のあまり声に出して(かみ)(あい))に感謝(かんしゃ)した。

エンジェルにも。

「こんなGIFT(ギフト)もらえるの〜!?」と、運転(うんてん)しながら何度も口に出して(うれ)してく(さけ)んだ。

「ありがとう!ありがとう!ありがとう!」

「こんなGIFT(ギフト)もらえるんだぁ〜!!♪」

何度。何度も。口に出して(よろこ)んだ。


あの日。

彼女と心が(かよ)()った瞬間(しゅんかん)空気(くうき)を今でも鮮明(せんめい)に感じる事が出来る。

私にとってその「瞬間」は、(ほか)(たと)えようのないほど素晴(すば)らしい(てん)からのGIFT(ギフト)だった。

たった数時間(すうじかん)(いた)みを()かち合った、知らない者同士(ものどうし)だけが知っている見えない(きづな)

この日は(ねむ)りにつく直前(ちょくぜん)まで、いや、おそらく眠っている間中(あいだじゅう)(よろこ)びが()わらなかった。


成長(せいちょう)して大人(おとな)になった(ころ)

彼女は人の(いた)みから(けっ)して()げださないだろう。




THE BLUE HEARTS(ブルーハーツ)」の真島(ましま)()が『()わらない(うた)』で(つづ)っている。



真実(ホント)瞬間(しゅんかん)はいつも ()(ほど)こわいものだから

()げだしたくなったことは 今まで何度でもあった



私もそう、何度でもあった。

そしてその時、何を選択(せんたく)し、どう行動(こうどう)したかが未来(みらい)の私たちを(つく)りあげて行くのだ。


この(さき)も。

真実(ホント)の瞬間”が何度もあるのだろう。


ある時は完全(かんぜん)に逃げきるのかもしれない。

ある時は(はら)をくくって()みとどまるのかもしれない。


それがどちらでも。


その(あと)何事(なにごと)もなかったかのように

私たちはその(とき)の選択と行動によって

どんなふうにでも どの方向(ほうこう)にでも

(つく)られて行く。


【20081028/23:26】







ワード:メニュー


トップページ
Copyright (C) 知民 2006-today All Rights Reserved.